獲得!助成金

融資と助成金の違い

そもそも助成金と何でしょうか?助成金とは融資とは違います。そこで、まずは助成金と融資に関して情報を整理しておきましょう。
融資とは?

融資とは、金融機関からお金を借り、そして金利を付して返済するもので、簡単に言えば借金です。たとえば、創業時においては、いかに返済の金利が低く、また、実績のない起業家にとっては担保や保証人などの条件ができるだけないことが望まれることになります。

助成金とは ?

助成金は、国や都道府県等からもらえる返済のいらない資金です。 そのため、それなりに細かい要件をクリアしないといけない面があります。 助成金の多くは、経済産業省管轄のものと厚生労働省管轄のものと、そして、当道府県や市区町村の管轄のものとに大別されます。 経済産業省管轄の助成金は、金額が大きい半面、ビジネスモデルや地域の活性化につながる等のそれなりに厳しい要件があり、ある意味では敷居の高い助成金と言えます。 一方、厚生労働省管轄の助成金は、雇用の促進を前提としているため、要件を満たせば比較的高い確率で助成金を得ることができます。 また、都道府県や市区町村では、独自に助成金制度を設けていることもあります。 たとえば、ホームページを作成した場合に、その費用に一部を助成してくれるような制度もあります。是非、一度 自社の管轄の市区町村等のホームページなどのチェックをしてみることをお勧めします。 当サイトでは、数ある助成金・奨励金制度の中でも、厚生労働省管轄の助成金を中心にご説明していくことにいたします。

助成金の価値を知る!

「助成金は面倒くさい」 「似たような助成金が多くてよくわからない」 「専門用語が多すぎる」 こんな経営者の方々の声をよく聞きます。 でも、こんな理由で助成金を安易に諦めてしまってはもったいないのです。 たとえば、中小企業基盤人材確保助成金で140万円の助成金がGETできたと考えてみてください。 日本の全業種の平均営業利益率(注1)2%~3%で換算してみましょう。 140万円÷2%=7,000万円 つまり、7,000万円の売上げを上げることで得られる営業利益に相当するのです。 面倒くさいなんて言っていられないはずですよね。

助成金の受給要件と支給目的

厚生労働省管轄の助成金では個別要件以外に、前提となる要件があります。 概ね以下の4点です。
(1) 雇用保険の適用事業所であること
簡単に言えば、雇用保険に加入している被保険者がいることが条件です。新規に採用する場合には、採用すると同時に雇用保険に加入することが前提になり ます。
(2) 法定3帳簿を整備していること
法定3帳簿とは、出勤簿、賃金台帳、労働者名簿のことをいいます。この他、労働契約書や就業規則等の提示を求められることもあります。
(3) 労働者を解雇したことがないこと
多くの助成金は、一定期間、会社都合で労働者を解雇したことがないことが要件と されます。概ね直近6ヵ月から1年程度の期間が設けられています。
(4) 労働保険料の滞納がないこと
厚生労働省管轄の助成金は、雇用保険料が原資になっていますので、当たり前といえば当たり前です。

助成金の支給目的とは

助成金の支給目的を大別すると概ね2つに分類することができます。

①賃金助成:従業員の賃金の一部を助成する目的で支給されるもの
②経費助成:かかった経費の一部を助成する目的で支給されるもの

たとえば、1つの事象で、複数の助成金を受給する事できる場合、支給目的が重複する場合には、併給調整がなされることがあります。 つまり、①に関する助成金が複数受給できる場合は、すべての助成金がもらえるわけではないということです。一方、1つの事象でも①の助成金と②の助成金は支給目的が違うために、一般的には併給することができるケースがほとんどです。

助成金の個別要件

ではどんな時に助成金が受給できるのでしょうか?大別すると以下の4つに分類することができます。

①労働者を雇用したとき
②労働者の能力開発を行ったとき
③労働者に福利厚生(育児・介護など)を施したとき
④雇用の維持・安定を行うとき

上記の①から④のどれか1つに当てはまるときは、助成金が受給できる可能性が極めて高くなります。 それでは、具体的に主な助成金をみていくことにしましょう。
主な助成金

1.雇用に係る助成金

試用雇用(トライアル雇用)奨励金
◆概要◆
イメージ画像この助成金は、比較的手続きも煩雑でなく、しかも短期間で給付があるのが特徴です。特に、45歳未満の若い方の雇用を考えている場合は、是非活用を検討してみてください。まず、この助成金の概要は、ハローワークが紹介する対象労働者を短期間(原則3カ月間)試行的に雇い、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけづくりを図るというものです。企業は、トライル雇用中に労働者の適正を見極めて、本採用するかどうかを決めることができます。もちろん結果的に本採用にならなくても試行雇用奨励金はもらうことはできます。
◆受給額◆
1ヵ月に4万円(最大3カ月で12万円)
◆受給のポイント◆
ハローワーク経由の雇用に限定して
  1. 45歳以上の中高年齢者
  2. 45歳未満の若齢者
  3. 母子家庭の母
  4. 障害者
  5. 日雇労働者
  6. ホームレス等
を求人します。
また、雇用開始前6ヵ月間に解雇がないことや労働保険料の納入実績などのいくつかの細かい条件がありますのでご注意ください。
◆手続き◆
ハローワークに求人票とともに、トライアル雇用に係る求人票を提出します。採用が決ま ったら、雇入れから2週間以内に、トライアル雇用実施計画書提出することになります。その後、トライアル雇用が終了したときに、トライアル雇用結果報告書兼試行雇用奨励金支給申請書を提出します。まさに期間限定のトライアルで雇用して、労働者の適正を見極めてみてから採用を検討して見たいというニーズに合致する助成金なのです。
高年齢者雇用開発特別奨励金
◆概要◆
雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワーク又は有料・無料職業紹介事業者により、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる事業主(1年以上継続して雇用することが確実な場合に限る)に対して、一部の助成が行われます。
◆受給額◆
週労働時間30時間以上:中小企業:90万円
週労働時間20時間以上30時間未満:中小企業:60万円
◆受給のポイント◆
要件の一つに過去3年間以内に6ヵ月以上雇用保険に加入していたものを雇用するという点があるので注意する必要があります。
◆手続き◆
ハローワークに求人を提出し、職業紹介を受けます。 採用が決定した場合は、1年以上の雇用を開始します。 雇用から6ヵ月経過後、1ヵ月以内に第1期支給申請書を提出します。 その後、奨励金の支給を受けることになります。 また、起算日から1年を経過した後1カ月以内に第2期支給申請を提出します。 第1期の支給申請がなされていない場合でも第2期支給申請は行えますが、第1期分は 支給されませんのでご注意ください。
特定就職困難者雇用開発特別助成金
◆概要◆
高年齢者(60歳以上65歳未満)、障害者等の就職困難者を、ハローワーク又は有料・無料職業紹介事業者により、継続して(被災者の場合は1年以上)雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して、支給されます。この助成金は、被災者に対しる震災の特例の対象になりました。(対象労働者が被災者の場合が、被災者雇用開発助成金と呼びます。)
◆受給額◆
週労働時間30時間以上
60歳以上65歳未満、母子家庭の母等:中小企業:90万円
重度障害者等を除く身体・知的障害者:中小企業:135万円
重度障害者等:中小企業:240万円
週労働時間20時間以上30時間未満
60歳以上65歳未満、母子家庭の母等:中小企業:60万円
重度障害者等を除く身体・知的障害者:中小企業:90万円
◆受給ポイント◆
60歳以上65歳未満の者、母子家庭の母親、障害者、被災者等、対象求職者が限定列挙されているので該当するかどうかを注意深く確認する必等があります。
◆手続き◆
ハローワークに求人を提出し、職業紹介を受けます。
採用が決定した場合は、継続雇用見込みを前提に雇用を開始します。
雇用から6ヵ月経過後、1ヵ月以内に第1期支給申請書を提出します。
その後、第1期奨励金の支給を受けることになります。
また、起算日から1年を経過した後1カ月以内に第2期支給申請を提出します。
その後、第2期奨励金の支給を受けることになります。
さらに、起算日から1年6ヵ月を経過した後1カ月以内に第3期支給申請を提出します。
その後、第3期奨励金の支給を受けることになります。
さらに、起算日から2年を経過した後1カ月以内に第4期支給申請を提出します。
その後、第4期奨励金の支給を受けることになります。
第1,2,3期の支給申請がなされていない場合でもそれ以降の支給申請は行えますが、支給申請していない期間は支給されませんのでご注意ください。
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2.雇用の維持・安定・能力開発に係る助成金

中小企業緊急雇用安定助成金
イメージ画像この助成金は、平成21年以降もっとも利用者が多かった助成金と言えます。リーマンショック以来、企業収益の悪化から、生産量・売上高が減少し事業の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者を一時的に休業、教育訓練または出向させた場合に、休業手当または賃金等の一部を助成するというものです。制度が若干複雑であり、その一方で、昨今では、不正受給等もあいまって厳格化されてきていますが、一度は検討して見る価値のある助成金です。
◆概要◆
まずは、自社が中小企業か大企業かの要件は、以下の表を参考に判断することになります。(中小企業と大企業とで支給要件が異なるため)

中小企業の種類

業種 労働基準法や中小企業基本法での定義
  資本金額 または 常時使用労働者数
下記以外の業種(製造業など) 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
要件としましては、まず
雇用保険に加入する事業主が、景気の変動などに伴う経済上の理由により、企業収益が 悪化し、事業活動を縮小していることです。ここでいう「景気の変動などに伴う経済上の理由」とは、産業構造の変化や地域経済の衰退、競合製品やサービスの出現による減収、物価高騰などがあげられます。一方、事故や災害、あるいは法令違反による事業活動の休止は要件には該当しません。ただし、突発的な災害などは特例により認められる場合がありますので確認が必要です。例えば、東日本大震災にともなう特例や福島原発問題の特例等も出ています。また、「事業活動の縮小」とは次の要件を満たしていることになります。
【要件】
直近3カ月間の生産量または売上高が、前年同期と比べ10%以上減少していること。
そして、2つ目に、
企業収益の悪化により、対象となる労働者全員を一時的に休業・教育訓練又は出向させた場合ということになります。
「休業」とは、
  • 事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われ、労働基準法の規定による休業  手当を支払うもの
  • 所定労働日の全1日にわたるもの、又は、対象労働者全員一斉に1日1時間以上行われる短時間休業であることこの2要件を満たす必要があります。
「教育訓練」とは、
  • 事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に全1日または、半日(3時間以上)で行われること。
  • OJTではないこと、労使間の協定があること
  • 教育訓練実施日に支払われた賃金の額が、通常支払われた賃金の6割以上であること。(就業規則で規定する必要があります)
「出向」とは、
  • 事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われ、出向労働者に出向前に支払った賃金と概ね同額の賃金を支払うもの
  • 出向労働者の同意を得たものであること、労使間の協定があること
  • 出向先事業主が出向開始日の6ヵ月前から1年後までの間に、事業主都合での離職者を出していないこと。なお、出向においては、出向労働者を交換し合うもの資本的・経済的・組織的関連性から独立性の薄い事業主間のものは、対象外です。
◆受給額◆
○休業
休業手当相当額の4/5(上限あり) ※1※2
支給限度日数:1年間で100日(3年間で300日)(休業及び教育訓練)※3
○教育訓練
賃金相当額の4/5(上限あり)※1※2
上記の金額に事業所内訓練の場合1人1日1,500円を加算
事業所外訓練の場合1人1日6,000円を加算
○出向
出向元で負担した賃金の4/5(上限あり)※1※2

※1 従業員の解雇等を行わない事業主に対しては助成率を上乗せ(4/5→9/10)あり。
※2 障害のある人の休業等に対しても助成率を上乗せ(4/5→9/10)あり。
※3 残日数の計算は次のとおりです。
前回までの残日数 ― 判定基礎期間に実施した休業(教育訓練)の延人日
判定基礎期間末日の対象被保険者数

なお、中小企業緊急雇用安定助成金の対象期間は1年であり、1年ごとに受給の要件の確認が必要です。
◆受給のポイント◆
この助成金は、休業、教育、出向の3形態出の支給が用意されていますが、申請が複雑なために一度にやるのではなく、休業のみで申請して、その後教育訓練や出向を考えるという手順がおススメです。
◆手続き◆
事前の計画を立て、休業等実施計画を届出します。計画作成にあたり、1年の間で、どの1ヵ月を休業し、どの日を休みかという具体的な日程まで必要です。初回の実施計画は、雇用調整開始日の2週間前までに行う場合が多いので期日をきちんと確認しておく必要があります。(2回目以降は前日まで)その他、生産量要件を確認するための資料として、「雇0用要請実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」や年間休日カレンダー、休業協定書、委任状などの添付書類も必要です。教育訓練の場合は、休業の場合に加え、さらに資料が追加されます。その後、実際に、休業、教育訓練、出向等を実施します。そして、最後に支給申請をすることになります。また、支給申請においては、多くの書類が必要になりますので事前に最新のしおり等をもとにリストアップしておきましょう。
キャリアアップ助成金
◆概要◆
キャリアアップ助成金とは?
有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成をするものです。
この助成金は次の6つのコースに分けられます。
  1. 有期契約労働者等の正規雇用等への転換等を助成する「正規雇用等転換コース」
  2. 有期契約労働者等に対する職業訓練を助成する「人材育成コース」
  3. 有期契約労働者等の賃金テーブルの改善を助成する「処遇改善コース」
  4. 有期契約労働者等に対する健康診断制度の導入を助成する「健康管理コース
  5. 勤務地限定正社員または職務限定正社員制度の新たな規定・適用等を助成する「多様な正社員コース」
  6. 短時間労働者の週所定労働時間を社会保険加入ができるよう延長することを助成する「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」

このなかで特にニーズの多いのが「正規雇用等転換コース」です。

◆受給額◆
たとえば、正規雇用等転換コースのなかで、
有期契約労働者を正規雇用労働者に転換したら、1人あたり57万円!(生産性向上で72万)
(1年度1事業所あたり20人まで申請可)
◆受給のポイント◆
①有期契約労働者が、6か月以上の人。
②転換後、正規雇用労働者として6ヶ月以上経過していること。
③転換前の基本給より5%以上昇給していること。
※細かい要件はいくつかありますが、主に上記の3要件を満たしたら、要件が合致する可能性が高いです。
◆手続き◆
主な流れは以下のようにあります。
まずはキャリアアップ計画書の作成と届出からです。順序を間違えると大変!まずはご相談ください。
キャリアアップ助成金の手続きの流れ
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3.その他の助成金制度

助成金はこの他まだまだたくさんあります。 たとえば、創業時にハローワーク経由で求人を募集する場合や介護事業を始めるにあたり、介護労働者の負担軽減のために介護福祉機器等を導入する場合の介護労働者設備等導入奨励金などもあります。(介護関連の助成金は、介護事業者向け特設サイトをご覧ください)
また、助成金は、新設、廃止、変更が頻繁に行われていますのでホームページの情報のみでは要注意です。最新の情報に関しましては、伊関社会保険労務士事務所に直接ご相談いただければと思います。

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また、助成金の制度の概要を知りたい方は、こちらの書籍をご覧ください。
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著者:伊関 淳
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